Vol.130 『やらされる』練習と『自分からやる』練習で生まれる差


こんにちは、窪田忍です。


普段、ランニングクラブ内外で練習に取り組む子どもたちを見ていると、同じ練習をしていても成長のスピードが大きく異なることがあります。


もちろん、体格や才能の差が無いとは言えません。

しかし、それ以上に大きな違いを生むのが「どのような姿勢練習に取り組んでいるか」だと感じています。

大切なのは、練習を『やらされる』のか『自分から取り組んでいる』のかという姿勢ではないでしょうか。


私も、高校から本格的に陸上の世界に足を踏み入れてから、それまでにないくらいひとつのものに取り組む姿勢が変わりました。


今回は、練習に取り組む姿勢の差と私の経験、そしてその経験から指導者として意識していることをお伝えします。

◆『やらされる練習』とは 

やらされる練習とは、言われたことをただこなす練習です。


コーチや先生、保護者から言われたからやる。

みんながやっているからやる。


そこに自分自身の意思や目的はあまりありません


もちろん、子どものうちは指導者から教わることがたくさんありますし、言われたことを素直に実践する姿勢も大切です。


しかし、「なぜこの練習をしているのか」を考えないまま取り組んでいると、練習はただの『作業』になってしまいます。


例えば、ドリルをしていても、


「今日はこのドリルをやるんだな」


で終わるのか、


「どこに意識を置くと良いだろう?」

「さらに良くするにはどこを変えれば良いだろう?」


と思いながら取り組むのかでは、得られるものも上達する速度も大きく変わります。


私の場合、腕振りひとつ取っても、感覚が良かったことはあっても、一度として『完璧』だと思ったことはありません。


「今日はここが良かったけど、なぜ良かったのだろう?」

「ここを変えるとどうなるだろう?」


と、常に考えながら練習をしていました。

◆『自分でやる練習』とは 

自分でやる練習とは、常に自分なりの目的や課題を持って取り組む練習だと思います。


指導者から与えられたメニューであっても構いません。


大切なのは、


「この練習で何を身につけたいのか」


を自分で考えているかどうかです。


その意識があるだけで、同じ時間の練習でも、吸収できることは何倍にもなります。


練習は『量』だけでなく、『質』が非常に重要です。



ここで間違えてはいけないのは、“質の高い練習”=“強度の高い練習 ”ではないということ。


そしてその質を高めるのが、『自分で考える力』です。

どんな練習を何のためにやるのか、さらにそこに何を加えると良くなるのか。


常に考えながら練習に取り組む姿勢が重要です。

◆目標を持つようになる 

自分で考える練習を続けると、自然と目標を持つようになります。


目標を持つことの重要性は、以前の記事でも紹介しました。


Vol.124 夢と目標が日々の習慣をつくりだす


「もっと速くなりたい」

「次の大会で入賞・優勝したい」

「自己ベストを更新したい」

そんな目標が生まれると、日々の練習にも意味が生まれます。


目標がない状態では、今日の練習も明日の練習もただの“繰り返し作業”です。


しかし目標があると、


「今の自分には何が足りないのか」


を考えるようになります。


そして、その不足を埋めるために行動できるようになります。

◆失敗を成長につなげられる 

競技を続けていれば、誰しも必ず失敗があります。


思うような結果が出なかったり、大事な大会で力を発揮できなかったりすることもあります。競技を続ければ続けるほど、そういったレースも増えてくるでしょう。


大切なのは、その失敗をただの失敗で終わらせないということ。


やらされている選手は、


「今日はダメだった」

「運が悪かった」


で終わってしまいます。

それではレースをひとつひとつで区切ってしまい、つながりがありません。


自分で考えて練習している選手は、


なぜ失敗したのか。

何が足りなかったのか。

次はどう改善するのか。

そうやって原因を探し、その考えを次の『行動』につなげることができます。


失敗を経験値に変えられる人ほど、大きく成長していきます。


私の場合、とても負けず嫌いな性格もあり、実力差はあろうとも常に『勝つため』の方法を試行錯誤していました。


いまやるべきことと、次どうしていくかを考えられる選手というのは、非常に強くなる素質がある選手であると感じています。

◆いま何をすべきかを考えられる 

成長する選手の共通点として、「今の自分に必要なこと」を考えられるという点があります。


例えば、


・スピードが足りない

・スタミナが足りない

・レース後半にフォームが崩れている


など、課題は人それぞれです。


自分で考える習慣がある選手は、その課題を自分の中できちんと持てているように感じています。


そして、その課題を克服するために、


「今は基礎体力をつける時期だ」

「まずはフォーム改善に集中しよう」


優先順位をつけて取り組めるようになります。


これは競技だけでなく、勉強や仕事にもつながる大切な力ではないでしょうか。


私の場合、陸上に関してそういった優先順位をしっかりとつけられていたと思います。


そしてそれを陸上以外に応用する場合、「陸上だったらどうしていたか」と置き換えて考えられるようになりました。

◆スポーツを通じて身につく「考える力」 

スポーツの価値は、記録や勝敗だけではありません。


本当に大切なのは、スポーツを通じて『人として成長すること』です。


目標を立てる力。

課題を見つける力。

失敗から学ぶ力。

行動を改善する力。

これらは大人になってからも必要な力ではないでしょうか。


だからこそ、子どものうちから『自分で考える習慣』を身につけることには大きな意味があります。


これは、私と、そして私たちaile RUNNING CLUBが意識している部分でもあります。



『競技者』である前に、『人間』として応援され、尊敬される選手を育てたいと思っていますし、自分自身もそうなれるよう努力しています。

◆最後に 

指導者や保護者が子どもに教えることは大切です。


しかし、それ以上に大切なのは、子ども自身が考える機会をつくることです。


また、私自身が意識していることとして、“否定する言葉”を使わないようにしています。


「そうじゃなくてこうしよう」

「それは違うから直そう」


という声掛けではなく、


「ここはとても良いから、次はこっちを意識してみよう」

「出来なくても大丈夫。どんどんチャレンジしよう」


という風に、“前向きな言葉”でアドバイスすることを心がけています。

そういった声かけをすることで、子ども達はどんどん『自分から』いろいろなことにチャレンジし、考えながら練習に取り組んでいくようになっていると感じています。



その変化は、競技力の向上だけでなく、子どもたちの将来にも大きな財産となるはずです。


執筆担当

窪田 忍(aile RUNNING CLUB 熊本 代表)

窪田 忍(くぼた しのぶ)

aile RUNNING CLUB 熊本エリアコーチ

経歴

鯖江高校(福井)/駒澤大学(東京)/トヨタ自動車(愛知)/九電工(福岡)

駒澤大学では、大学三大駅伝に4年間すべて出場。
区間賞5回獲得(出雲2回、全日本1回、箱根2回)したほか、日本人トップ4回。


実業団では、2015年・2016年と、トヨタ自動車史上初となるニューイヤー駅伝連覇に貢献。
引退後、幼稚園児〜大人まで幅広い世代の指導を行っている。
また、オンラインにて全国のランナーに向けたレッスンも行っている。

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