Vol.120 大きな故障から学んだ、『8割』の練習と故障との付き合い方

こんにちは、窪田忍です。


ランナーにとって、切っても切り離せない課題である“故障”

皆様の中にも、

・仕事の合間や仕事終わりに時間を作って走っている
・せっかく習慣になってきたのに、痛みで走れなくなった
・調子が上がってきたところでいつも故障する

など、そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。


これまでにも、故障予防のトレーニングやストレッチをご紹介してきましたが、

どれだけ気を付けていても、故障してしまうことはあります。


そんなときにはどう向き合うべきか。

今回は、私自身の経験をもとに、『市民ランナーの方にも実践しやすい形』でお伝えします。


◆そもそも故障を防ぐために意識したいこと


まず前提として、“一切故障をしない”という人はいないと思っています。


トップ選手であっても、日々故障のリスクと向き合いながら走っています。


では、どうすればそのリスクを下げられるのか。

明確な答えを出すのは難しいですが、私の中で一つおすすめしたいのは、


『8割程度の練習を継続する』という考え方です。


これは、毎回きついところまで追い込むという意味ではなく、

「もう少しやれそうだな」というくらいでやめておくという『心構え』です。


例えば市民ランナーの方であれば、

・少し余裕を残したペースで終える
・週に1回だけ少しがんばる日を作る

このくらいのイメージで十分です。


追い込みすぎないことで、身体に適度な負荷をかけつつも、過度なダメージを持ち越さずに次の練習を迎えられます。

また、精神的にも“次の練習”を考える心の余裕も出来るでしょう。


走れる日が限られていると、

「せっかくだから今日はがんばろう」と思いがちですが、

その“1回のがんばりすぎ”が、

気づかないうちに故障につながることもあります。


継続するためには、


『10割の練習を8回』よりも、『8割の練習を10回』

この意識がとても大切です。


◆現役時代に経験した大きな故障


そんな私も、25歳のときに大きな故障をし、ある転機を経験しました。


右足首の手術です。


きっかけは、左足首の捻挫でした。


練習中に足をとられ痛めてしまったのですが、

「走れるから大丈夫」と判断し、そのまま走り続けてしまいました。


『痛みはあるけれど走れる』

これは、実は一番注意が必要な状態です。


本来であれば、ここでしっかり休むべきでした。

しかし、走れてしまうが故に無理をしてしまう。


その結果、痛めた箇所は徐々に悪化し、

さらにそれを庇う動きによって別の場所にも負担がかかっていきました。


◆原因が分からないまま続く不調


さらに厄介だったのは、痛みの原因が特定できなかったことです。


検査では異常が見つからない。

それなのに痛みはある。


少し良くなったら走り、 また痛くなる。


この繰り返しが1年近く続きました。


気持ちも少しずつ削られ、

走ること自体がつらく感じるようになっていきました。


◆手術を経て変わった考え方


最終的に、足首の骨(距骨)の一部に問題が見つかり、手術を行いました。


その時に感じたのは、

「やっと原因が分かった」という安心感でした。


そして、この経験を通して大きく変わった考えがあります。

それは、


『痛みがあるときは、治すことを最優先にする』

ということです。


故障をすると、周りと比べて焦る気持ちもあると思います。


特に市民ランナーの方は、

「せっかく時間を作っているのに走れない」

というもどかしさも大きいはずです。


それでも、

“勇気を持って休むこと”も、トレーニングの一部なのです。


◆故障中の過ごし方


では、故障中は何もできないのでしょうか。


決してそんなことはありません。

むしろ、身体を見直す大切な時間でもあります。


例えば、

・ウォーキングやバイクで無理のない範囲で身体を動かす
・体幹や股関節まわりの補強を行う
・自分の走りを動画で見直す
・トップ選手の走りをよく観察し、自分に落とし込むイメージトレーニング

こういったことに取り組むだけでも、復帰後の走りは大きく変わります。


大切なのは、

『走れない=何もできない』と考えないこと。

今の自分にできることに目を向けることです。


もちろん、前向きになれない日もあります。

私自身も、何度も気持ちが折れそうになりました。


だからこそ言えるのは、それは自然なことだということです。


無理に前向きになろうとしなくても大丈夫です。

そんなときは、心身ともにしっかり休めてください。


まずは、確実に治すこと。


それが結果的に、一番早く走りに戻る近道になります。


◆最後に


故障は、すべてのランナーにとって避けて通れないものです。


だからこそ、その時間をどう過ごすかが大きな差になります。


仕事や家庭と両立しながら走っている方にとって、

“走れない時間”はとてももどかしいものだと思います。


それでも、その時間の使い方次第で次の一歩は大きく変わります。


故障したときこそ自分と向き合い、

“できなかったことができるようになる時間”に変えていけるといいですね。


執筆担当

窪田 忍(aile RUNNING CLUB 熊本 代表)

窪田 忍(くぼた しのぶ)

aile RUNNING CLUB 熊本エリアコーチ

経歴

鯖江高校(福井)/駒澤大学(東京)/トヨタ自動車(愛知)/九電工(福岡)

駒澤大学では、大学三大駅伝に4年間すべて出場。
区間賞5回獲得(出雲2回、全日本1回、箱根2回)したほか、日本人トップ4回。


実業団では、2015年・2016年と、トヨタ自動車史上初となるニューイヤー駅伝連覇に貢献。
引退後、幼稚園児〜大人まで幅広い世代の指導を行っている。
また、オンラインにて全国のランナーに向けたレッスンも行っている。

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