Vol.111 セルフケアの重要性~毎日"自分の身体と会話する"ということ~

こんにちは、窪田忍です。

 

ランニングやスポーツにおいて目標を達成するためには、「練習内容」や「走行距離」といった”負荷”にどうしても意識が向きがちです。

しかし、長期的にパフォーマンスの差を生むのは、実は「リカバリー力」と「コンディション把握能力」であり、そのためにはセルフケアが非常に重要となってきます。

セルフケアは単なる疲労回復手段ではなく、

 

・身体状態のモニタリング

・傷害の予防管理

・動作効率の維持

 

を担う「自己管理スキル」です。

私自身、セルフケアを習慣化することで、

 

「今日は張りが強いな」

「いつもと感触が違うな」

 

と、不調の“予兆”に早く気づけるようになりました。

これは特別な才能ではなく、常に自分と向き合うことで誰でも身につけられる感覚です。

 

そこで今回は、私が日常的に行っているセルフケアの中でも、特に有効だと感じているものを紹介します!

 

◆セルフマッサージ

セルフマッサージというと、「筋肉をほぐす」「疲労を取る」というイメージが強いかもしれません。

もちろんそれも大切ですが、本当の目的は別のところにあります。

それは、筋肉を触ることで、日々の変化を感覚的に理解できるようになることです。

最初は

 

「硬いのか柔らかいのか分からない」

「左右差がある気がするけど自信がない」

 

そんな感覚でも問題ありません。

しかし、毎日続けていくと、確実に分かるようになります。

 

・いつもより張りが強い

・押したときの痛みの質

・触った瞬間に違和感

 

こうした小さなサインに気づけるようになると、練習負荷を落とすという判断や、ストレッチ・アイシングなどの対処を早期に選択でき、結果的にケガのリスクを下げられます。

私は、高校1年生から現役を引退する32歳まで、練習を休む日も含め、毎日欠かさずセルフマッサージをしてきました。

なお、「単純にほぐしたい」「時間をかけられない」という場合は、マッサージガンを使うのも有効ですが、すべてを任せるのではなく、手で触って状態を確認する時間も大切にしてください。

 

◆ 足底マッサージ(足裏)

足底は、ランナーにとって最も酷使されている部位の一つです。

そして、『第二の心臓』と呼ばれるほど非常に重要で、ここが硬くなると、ふくらはぎやアキレス腱、膝、股関節へと影響が広がります。

ここでは、2つのパターンを紹介します。

 

①入浴中のマッサージ

・湯船の中で行うのがおすすめ

・足の指の間に手の指を1本ずつ入れて広げる

・反対の手の指で、土踏まず〜かかとをゆっくり指圧しながら沿わせるようにマッサージ

 

②入浴後のマッサージ

・ゴルフボールを足裏で踏み、前後に転がす

・体重は「痛気持ちいい」程度まで

注意:やり過ぎは逆効果!

足底は、刺激に弱い組織です。

強く、あるいは長くやり過ぎると、炎症や足底筋膜炎のリスクにつながります。

「気持ち良い」「終わった後に軽い」と感じる程度で止めましょう。

目安としては、片足1分程度です。

 

◆ストレッチをする前に重要なこと

ストレッチの目的は、 筋緊張の一時的抑制と可動域の調整です。

一部位あたり30秒程度にすることで、筋肉の緊張が抜け、神経の防御反応が落ち着くという効果が得られます。

一方で、反動をつけながらグイグイ行ったり、1分以上と長めの実施、痛みを我慢しながら行ったりすると、筋肉は「危険だ」と判断して逆に緊張します。

これが「やり過ぎは逆効果」と言われる理由です。

ですので、一部位あたり30秒程度に抑えるよう心掛けてください。

 

① 大臀筋ストレッチ

 

・仰向けで膝を胸に引き寄せる

 

・抱えた膝を反対側へ倒す

 

大臀筋は、推進力・接地の安定・骨盤のコントロールを担う、言わばランナーの要です。

このストレッチは、大臀筋・中殿筋・股関節後方の筋群が同時に緩みます。

ここが硬くなると、股関節~上半身に負担がかかり、フォームが崩れやすくなります。

走りの安定感に関わるストレッチなので、必ずと言って良いほどやって欲しいストレッチです。

 

②股関節ストレッチ

 

・仰向けに寝て、片膝を胸に引き寄せ抱える

 

・抱えた膝をやや外側に開く(肩や首の力は抜く)

 

股関節は、脚の振り出し・骨盤の安定・ストライド調整すべての中心にある関節です。

特に、デスクワークなど長時間座ることの多い方は、股関節の深い部分が硬くなりやすい傾向があります。

このストレッチは、股関節の奥(インナーマッスル周辺)を安全に緩め、腰への負担も少ないという点で、毎日のセルフケアに最適です。

 

③ふくらはぎ・アキレス腱ストレッチ

 

・片膝立ちの姿勢(後ろ脚は正座に近い体勢)、前脚を一歩前に出す

・前脚の踵は床につけたまま

 

・上体をやや前に移動し、前脚に体重を乗せ、膝はつま先の方向へ自然に

(※NG例:踵が浮いている/勢いよく体重をかけている)

 

このストレッチは、

・「走っている時に近い角度」で伸ばせる

・体重を使うため、伸び過ぎを防ぎやすい

というメリットがあります。

ふくらはぎ・アキレス腱は、着地衝撃を受け止めながら、次の一歩を生むバネの役割をしています。ここが硬いまま走ると、肉離れやアキレス腱炎のリスクが高まります。

 

④大腿四頭筋ストレッチ

 

・立位で足首を持つ

 

・膝を揃え、体をまっすぐ

 

大腿四頭筋は、膝への負担やブレーキ動作に影響します。

特に起伏のあるコースでの練習後やスピード練習後は必須です。

また、膝を揃えて行うことも重要な点です。

膝が外に開いた状態で伸ばすと、正しく伸ず、股関節が外旋し、別の筋肉に負担がかかったり、膝へのストレスがかかったりします。

膝を揃えることで、大腿四頭筋を“真っ直ぐ”伸ばし、膝関節のねじれを防げるため、安全かつ効果的に伸ばすための重要なポイントです。

 

◆最後に…

セルフケアは、練習のような『がんばる時間』ではなく、『整える時間』です。

 

・毎日

・短時間

・やり過ぎない

 

この3つを意識することで、身体は確実に応えてくれます。

また、ケガが少ない人ほど、セルフケアを『特別なもの』という意識はありません。

「毎日」「当たり前に」「整える」ことで、いわば自分の『身体の声』を聞いています。

走りを伸ばすためには、追い込むだけではなく、ちゃんと整えた日の積み重ねが重要です!

執筆担当

窪田 忍(aile RUNNING CLUB 熊本 代表)

窪田 忍(くぼた しのぶ)

aile RUNNING CLUB 熊本エリアコーチ

経歴

鯖江高校(福井)/駒澤大学(東京)/トヨタ自動車(愛知)/九電工(福岡)

駒澤大学では、大学三大駅伝に4年間すべて出場。
区間賞5回獲得(出雲2回、全日本1回、箱根2回)したほか、日本人トップ4回。


実業団では、2015年・2016年と、トヨタ自動車史上初となるニューイヤー駅伝連覇に貢献。
引退後、幼稚園児〜大人まで幅広い世代の指導を行っている。
また、オンラインにて全国のランナーに向けたレッスンも行っている。

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