Vol.24 佐久長聖高校3年目(後編)

全国インターハイが終わり
夏の菅平合宿も乗り越えて
いよいよ駅伝の季節が近づいてきました。

まずは夏の成果を出さなければいけません。
佐久長聖高校は当時、10月と11月に日体大記録会に出場してました。
そこで5000mの自己記録を更新して
良い状態で駅伝シーズンに入っていくという流れが理想です。
あとは駅伝メンバーの選考も兼ねていたので
本当に外せない記録会でもありました。

もちろん私も練習をしっかり積めていましたので
しっかり自己記録の更新を狙っていましたし
駅伝メンバーにも確実に入るつもりでした。

夏場は3000mSCをずっとやっていたので
5000mはかなり久しぶりに走ります。
2回チャンスがあると思っていたので
少し気持ち的にも余裕がありました。

しかし、まさかの展開が起きました。
今年は駅伝に集中するため10月の記録会のみ出場すると
監督から言われました。
そうです。チャンスは1回のみということです。

私は内心かなり焦りました。
そして、これが3年生になって
最初で最後の5000mになるとは思ってもいませんでした。

自己ベストは2年生時に出した14分33秒です。

こうなったらやるしかありません。
何としても7番以内と自己ベスト更新をするため
実業団や大学生がいる最終組にエントリーしました。

当日は少し疲労感が残ってはいましたが
調子はそんなに悪くありませんでした。

最終組には私を含めて佐久長聖高校から
6名もエントリーしていました。

しかも、最終組の前の組で後輩2名が
14分21秒と14分25秒で走っていて
両角監督からも最低でも14分20秒ぐらいでは
走らないとメンバーになれないぞ!と
プレッシャーをいただきました。。。

少し緊張はしましたが、集中と後半の粘りを
意識してスタートしました。

もちろん先頭はケニア人が走るので
とんでもないペースで進んでいきます。
私はマイペースを心がけながら走ります。
1000mの通過は2分46秒。
全然悪くないですが、まさかの最下位通過。

しかしこのままで大丈夫と自分に言い聞かせて
周りは気にせず集中して走ることに。
2000mの通過は5分34秒。またしても最下位通過。
余裕はまだあったので焦らずペースを維持することだけを考えてました。

3000mの通過は8分26秒。
まさかの自己ベスト更新です。笑

このあたりから少しずつキツくなってきました。
失速してきた選手を抜きながら少しずつ前に。
4000mの通過は11分19秒。
ここで余裕はほぼなくなりました。

けれどここは踏ん張りところなので
必死に我慢の走りを続けました。
ちなみに私はラストスパートがかなり苦手だったので
ラスト200mで3人に抜かれました。笑

ゴールタイムは14分09秒。
今までの自己ベストは14分33秒なので
大幅な自己ベスト更新です。
しかしチーム内順位は6位とギリギリでした。
嬉しい気持ちよりもホッとした気持ちが強かったですね。

記録会チーム内順位
1位 村澤選手  13分50秒
2位 大迫選手  13分58秒
3位 平賀選手  14分00秒
4位 千葉選手  14分03秒
5位 佐々木選手 14分06秒
6位 藤井    14分09秒

この記録会の結果でチームの士気と勢いは
さらに上昇していきました。

そして全国高校駅伝の切符がかかった県高校駅伝。
出場権を獲得するのは当然でしたが、
各自のタイム、総合タイムを意識しなければなりません。

私は2区(3km)を担当することになりました。
区間記録は佐藤悠基さんの8分31秒。
1区の村澤選手が区間新記録の好走で襷を持ってきてくれました。

私もその勢いを切らさないように前半から
積極的にスピードを上げていきました。
ラスト1kmは上り坂の直線でメンタル的にキツかったですが
しっかり踏ん張ることができ、8分19秒の区間新記録をマークできました。
その後も皆んなの好走は続き、7区間中6区間が新記録更新でした。
総合タイムも大会新記録を出すことができました。


その後も日々のキツい練習を乗り越えて
全国高校駅伝当日を迎えました。

調整練習もしっかりすることができていたので
当日の朝はやる気と充実した気持ちでいっぱいでした。
自然と不安な気持ちは一切ありませんでしたね。

私は前年と同様の5区(3km)を担当することになりました。
両角監督からも3区で仙台育英の留学生に抜かれると思うから5区か6区で逆転するぞ。と伝えられていました。

去年は1秒に泣いたので、今年は1秒を大切に
必ず優勝すると強い気持ちで準備をしました。

レースは1区から仙台育英との一騎打ちになりました。
1区の千葉選手は数秒差で2区に2位で襷が渡ります。
2区の選手も粘り、仙台育英の選手と並んで
3区のエース村澤選手に襷を繋ぎます。

仙台育英はエースの留学生です。
ここで差が開くのは想定内ですが
その差が40秒差以内で4区に襷が渡れば確実に逆転できると両角監督は言っていました。
4区の平賀選手に渡るときの差は32秒でした。
ここから佐久長聖高校の猛追が始まります。
32秒あった差もどんどん詰まっていきます。

5区の私のところでは8秒差まで縮まっていました。
私に襷が渡る直前に世羅高校の留学生に抜かれてしまい、3位で襷をもらいました。
しかし、スタートと同時に確実に2人を抜いてトップに立てると確信しました。

早く抜きたい気持ちが強すぎてかなりオーバーペースで走ってしまい、1kmの通過は2分40秒。
けれどこのまま差を広げていくしかないと思い
ペースを落とすことなく走りました。
中間地点の1.5kmの通過は4分03秒。
これは流石にやり過ぎました。笑
後半は登りのコースなのでかなりキツかったです。
しかしチームの優勝のことだけを考えて
残り2人を少しでも楽に走らせてあげたいと思い
死ぬ気で粘りました。結果的に2位と16秒くらいの差をつけることができ、コース新記録の8分24秒をマークできました。
区間新記録まであと2秒でした。

そのまま勢いは落ちることなく残りの2人も区間賞を獲得する走りでした。
アンカーの大迫選手が佐久長聖高校初優勝のゴールテープを勢いよく切ってくれました。

ちなみに総合タイムは2時間02分18秒。
これは日本人チームの最高タイムでした。

3年間共にした仲間と最大の目標を達成することができて、本当に嬉しい気持ちでいっぱいでした。
両角監督を胴上げできたことは忘れることができません。

これで佐久長聖高校時代のストーリーは終わりとなります。
楽しんでいただけたでしょうか?

厳しい練習、厳しい寮生活、仲間との絆を深め
ひとつの目標に向かっていけたのは私にとって
財産になっています。
皆さんも何かひとつでも目標を持ってランニングをすれば
より楽しくなるかもしれませんので
是非目標を立ててみてくださいね。

引き続き私のつぶやきを
暇つぶしに程度で良いので読んでいただけると嬉しいです。笑

それではこの辺で失礼します。

〔監修〕itoix公式ランニングアドバイザー
藤井 翼(Tsubasa Fujii)


プロフィール

◯出身校
元岡中学校(福岡県)/佐久長聖高校(長野県)/山梨学院大学(山梨県)

中学3年時には1500m、3000mの2種目で全国大会に出場。
高校は長距離の名門、佐久長聖高校に進学。
チームメイトにはNIKEの大迫傑がいる。
個人種目では3000mSCを専門とし、3年時のインターハイ北信越大会では当時の長野県高校記録となる8分57秒をマーク。その後の全国インターハイでは優勝した留学生に次ぐ日本人トップの2位に入る。
冬の全国高校駅伝では日本人チームの高校歴代最高タイムで総合優勝。個人でも5区(3km)を8分24秒で走り区間賞。これは現コースになってから最も速いタイムであるため、コース新記録という扱いになっている。

◯保有資格
日本体育協会公認スポーツリーダー/日本陸上競技連盟公認ジュニアコーチ

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※ご相談内容によってはご返答をいたしかねます。ご了承ください。

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