こんにちは、窪田忍です。
今回は、約3ヶ月という期間で挑戦した、北海道マラソン2026について、書かせていただきます。
「もう一度、ランナーとして勝負するスタートラインに立ちたい」
そう心に誓って挑んだこのマラソン。
ターゲットは『2時間27分切り』。
今年12月に開催される福岡国際マラソンのAグループ参加標準記録を突破するための、背水の陣となるレースでした。
元実業団ランナーとして走ってきた私が、現役を離れたいま、なぜ再びこのタイムに挑み、そして何を思い、どう戦ったのか。
これまでの葛藤と練習の日々、そしてレースの全貌をお伝えします。
◆葛藤の果てに見つけた「走る理由」
話は今年2月の熊本城マラソン2026に遡ります。
当時の私は、どこか『走らなくてもいい立場』に甘え、走る理由を見失っていました。
ろくに練習もしないままスタートラインに立ち、3時間18分42秒という結果に。
最低限の完走こそ果たしたものの、胸にこみ上げてきたのは猛烈な「悔しさ」でした。

Vol.113 熊本城マラソン2026出場レポート|42.195kmが思い出させてくれた『悔しい』気持ち
他人に負けた悔しさではありません。
「できない理由」を探し、自分の弱さから逃げていた自分自身に対する悔しさです。
それと同時に、aile RUNNING CLUBの仲間たちが、自己ベストを目指して全力で戦う姿に、胸を強く打たれました。
「このままでは終われない。逃げるのをやめ、もう一度本気でマラソンと向き合おう」
これまで目を背けてきた、“ランナー”としての気持ちに灯がともった瞬間でした。
決意したのが、ハイレベルな選手しか出場できない、福岡国際マラソンへの出場。
そして目指すからには、Aグループの資格、『2時間27分以内』を出す必要があったのです。
◆真夏のマラソン攻略へ向けた4つの課題
挑戦の舞台として選んだのが、8月末に開催される北海道マラソンでした。
記録を狙える期限が迫る中、真夏の厳しい環境下で2時間27分を切るため、私は4つのテーマを掲げました。
①3分30秒/kmのペース感覚の再構築
現役時代の40km走の基本設定であったこのペースを身体に染み込ませるため、距離走やペース走を徹底。
②2時間以上走り続けるメンタルと脚作りの再点検
ジョグの時間をあえて延ばし、長時間走ることへの抵抗感を払拭。
③体幹・ウエイトトレーニングによる補強
5月の「熊本空港マラソン(10km)」で3分30秒ペースの感触は掴めたものの、筋力不足からふくらはぎを痛めるトラブルが発生。この反省から、上半身のブレを抑える体幹補強や筋力トレーニングを本格導入しました。
④スピードの余裕度UP
3分30秒をラクに感じられるよう、400mインターバルなどで1km3分00秒を切るスピードを磨き直し、心肺機能に余裕を持たせました。
SNSやInstagramを通じても日々の泥臭いトレーニングや葛藤を毎日発信してきました。

約1ヶ月の肉離れや連日の猛暑。予定していた練習を100%できた訳ではありません。
それでも「今日だけ、いまだけがんばる」という言葉を自分に言い聞かせ、一歩ずつ身体を戻してきました。
◆いざスタートへ
レース当日。

ある程度の暑さを覚悟していましたが、気温は20度と低く、非常に良いコンディションに感じました。日差しは多少あったものの、直前まで酷暑の熊本にいたこともあり、それほど苦に感じませんでした。
そして午前8時30分、スタートの号砲。
正直なところ、練習不足感は否めません。しかし、熊本城マラソンのときのような不安や曖昧な気持ちはまったくありませんでした。
自分と向き合い、覚悟を持って過ごしてきたという気持ちと、あとはとにかくやれることをやるだけ、と集中して臨めました。
【レース展開】
~15km:狙い通りのアプローチ
前半は女子のトップ選手の集団に合わせ、3分27秒/km 前後と、少し速いペースで進みました。スピード練習の甲斐もあってか、余裕を持って軽快に身体が動きます。沿道からの声援にも手を振る余裕がありました。

15km~20km:タフな攻防
15kmを過ぎたあたりから、じわじわと脚が重くなり始めました。暑さはそれほど気にならなかったものの、このまま集団のペースで行くべきか否かの判断を迫られます。
後半のことも考えると、このペースで押していくのは得策ではないと考え、ペースダウン。3分35秒~40秒/km ペースで粘りの走りを展開。2時間27分切りの目標に対してギリギリ踏みとどまっている状況でした。
20km~30km:向かい風・足底の痛みとの闘い
20kmあたりの折り返しから、状況が一変します。
強い向かい風にあおられ、ペースの維持が難しく、一気に4分/km 前後までペースダウン。
それでもなんとか耐えていたところ、足底に痛みが出始めました。
マメではありません。元々、足底の神経系の痛みを抱えており、普段はあまり出ることはありませんが、強い負荷が長時間かかることによって発症することがあります。
今回、久しぶりのマラソンであるということと、現役時代と比べ筋力が低下していることで、知らぬ間に必要以上に踏ん張ってしまっていたのだと思います。
最初は我慢できる程度だったものの、歩を進めるごとに痛みが増します。
あまりの激痛から、シューズを脱いで処置する場面もありました。
30km~ゴール:自分との勝負
30kmを過ぎると、足底の痛みに加え脚も限界近くまで悲鳴を上げ始めました。
1kmが途方もなく長く感じられる悪夢のような時間帯。棄権を考えなかったわけではありません。
それでも、 「ここでやめたら、なにも得られるものはない」 と、沿道の応援、SNSで応援してくれた方々からの言葉、そして同じく走っている選手からも励まされ、必死に脚を前に動かしました。
とにかくゴールしたい。

40km付近では、6分/kmを超えるペースになっていました。それでも、その思いだけを胸に、最後の一歩まで振り絞りました。
◆挑戦の先に見えた景色
記録は、2時間55分54秒。
目標には遠く及びませんでした。
あれほど苦しんでゴールしましたが、真っ先に沸いた感情は、ゴールしたという安堵ではなく、本当に悔しいという感情でした。
しかし、熊本城マラソンの時に抱いた、『弱さから逃げていた自分自身に対する悔しさ』ではなく、挑戦し、目標を達成できなかったという純粋な悔しさです。
それでも、『2時間27分切り』にこだわって練習を積んだこと、そして難しいと分かりながらも前半そのペースでレースを進めたことに対する後悔は微塵もありませんでした。
熊本城マラソンで挫折を味わってから約半年。
ずっと失っていた“ランナーと”しての情熱を取り戻し、自分自身の弱さと正面から戦い抜いたこの42.195kmは、私にとってかけがえのない『再出発の証明』でもあります。

◆最後に
今回、北海道マラソンで2時間27分切りという高い壁に挑戦したことで、改めて実感したことがあります。
それは、
「目標の大小に関わらず、今日この瞬間に全力を尽くすことの尊さ」
です。
指導者として子どもたちやシニアランナーに「挑戦することの大切さ」を口で伝えるだけでなく、自分自身が挑戦し、泥臭くあがく姿を見せられたなら、この挑戦には大きな価値があったのだと感じています。
“ランナー”の窪田忍の『新章』はまだまだ始まったばかりです。
これからも壁にぶつかりながらも前へ進み続けます。
皆さんも、ぜひ一緒に新しい目標へ踏み出してみませんか?
「明日から」ではなく、「今日・いまこの瞬間」から。
一緒に挑戦しましょう!








