Vol.13 MGCの考察

MGC=マラソングランドチャンピオンシップ 東京オリンピックのマラソン日本代表選考会が先日開催されましたね!

【男子】
1位 中村匠吾選手(富士通) 代表内定
2時間11分28秒
2位 服部勇馬選手(トヨタ自動車) 代表内定
2時間11分36秒
3位 大迫傑選手(NIKE) 有力候補
2時間11分41秒

【女子】
1位 前田穂南選手(天満屋) 代表内定
2時間25分15秒
2位 鈴木亜由子選手(日本郵政グループ) 代表内定
2時間29分02秒
3位 小原怜選手(天満屋) 有力候補
2時間29分06秒


男女の上位2名が日本代表内定となりました。

3位の選手は有力候補となり、日本陸上競技連盟が定めた規定タイムを今後のレースで超える選手が現れなければ内定となります。

試合展開としては、男子はスタート直後に設楽選手(ホンダ)が1人飛び出し波乱の幕開けとなりました。

30km過ぎまで先頭を走っていましたがその後、後続の集団に吸収され最後は3人のデッドヒートで決着が着きました。

女子は前田選手(天満屋)が終始冷静に崩れることなく、後半は独走状態でレースを制しましたね。

男子はやはり前評判の高い大迫選手(NIKE)、設楽選手(ホンダ)、井上選手(MHPS)が注目を集めていました。

しかし20kmの地点で設楽選手は独走、大迫選手は第2集団、井上選手は後方の集団と どうなるか全くわからない展開でレースが進みましたね。

30kmを過ぎても9名ほどの集団で先頭が目まぐるしく変わっていました。

私も現役時代の試合で経験がありますが、集団が崩れない状況でゴールが近づいてくると、どこでどう仕掛けようか、誰がどこでスパートをかけてくるのか、失敗の許されない心理戦が起きます。

体力の残り具合、脚の余力、精神的余裕度、色んなことを考慮しながらラストスパートの準備をしていきます。

しかし、ここを意識し過ぎると自分の走りに集中できなくなり無駄な体力が奪われます。 とても難しいところだと私は思います。

最後にレースが動いたのはラスト5kmを切ってからの登り坂ですね。

どの選手もポイントとしてあげていたラストの登り坂。

30km以上走ってきた身体でラストの登り坂、キツくない選手なんていません。

脚へのダメージもかなりあります。

中村選手(富士通)が一気にギアを変えてラストスパートをかけました。 大迫選手(NIKE)、服部選手(トヨタ)を引き離します。

下りで大迫選手が追いつきましたが、そこから更にスパートをかけて見事1位でゴールしました。

服部選手も大迫選手との競い合いを制して2位でゴールとなりました。

中村選手、服部選手の特徴として暑さに強い、暑さ対策をしっかりしていたことも勝因の1つだと思います。

中村選手はもっと暑くなれと思いながら走っていたそうです。笑

服部選手も暑い中での練習を重ねて身体を慣らしてきたそうです。
長距離にとって暑さは天敵です。

そこに耐性をつけられると、とても有利になりますね。

あとは積極的に給水、氷、水を含んだスポンジを取ることで脱水症状を回避できます。
ここはほとんどの選手が行なっていました。

帽子の中やタイツの中に氷を入れたり両手に持ったりと、走りながら工夫していました。

見事に代表内定した4名の選手には来年に向けて頑張って欲しいですね!

これからマラソンシーズンも本格化してきます。

皆さんも出場するレースに向けてしっかり練習していきましょう!

〔監修〕itoix公式ランニングアドバイザー
藤井 翼(Tsubasa Fujii)


プロフィール

◯出身校
元岡中学校(福岡県)/佐久長聖高校(長野県)/山梨学院大学(山梨県)

中学3年時には1500m、3000mの2種目で全国大会に出場。
高校は長距離の名門、佐久長聖高校に進学。
チームメイトにはNIKEの大迫傑がいる。
個人種目では3000mSCを専門とし、3年時のインターハイ北信越大会では当時の長野県高校記録となる8分57秒をマーク。その後の全国インターハイでは優勝した留学生に次ぐ日本人トップの2位に入る。
冬の全国高校駅伝では日本人チームの高校歴代最高タイムで総合優勝。個人でも5区(3km)を8分24秒で走り区間賞。これは現コースになってから最も速いタイムであるため、コース新記録という扱いになっている。

◯保有資格
日本体育協会公認スポーツリーダー/日本陸上競技連盟公認ジュニアコーチ

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